はむのみ。
相公閣下、閣下は二億五千四百万円の大予算を無難に通過したるを以て十分の欣栄とする所なる可し、政治的営利を事として国民の負担を増加するの建議案を提出する議会は、固より閣下の内閣が提出したる大予算に削減を加ふる理由はある可からず、閣下も亦寧ろ此の弱点を利用せむとしたり、故に国庫の負担を増加する建議案も勉めて之れを迎合し、以て財政上他日の破綻を見るを毫も意とせざるなり、而して是れ実に国家の為めに悲む可きの不幸なり。
※[#始め二重括弧、1−2−54]八※[#終わり二重括弧、1−2−55]
山県相公閣下、我輩は閣下の議院政略が、市価を有する多数の人頭を買収したる点に於て成功したるを認識す、而して累々たる多数の人頭は、金銭若くば、其他の利益を条件として、争ふて良心を売り、意見を売り、投票を売り、起立を売りたる政治的市場の取引に対し、敢て張胆明目して精厳なる道徳上の批評を加ふるは、我輩寧ろ其の徒爾に属するを知る、さりながら閣下にして自ら其の初心を点検せば、閣下は宜しく漫りに議院政略の成功に誇るべからず、閣下或は議会を盲従せしめたるを以て能く内閣の目的を達したりとせむ、而も事実をいへば閣下の議会に盲従したるもの亦少しとせず、試に閣下の為めに一二の実例を開示せむ。
曩きに閣下が第十三議会に臨むや、財政計画の唯一基礎として地租率を百分の四に増加するの法案を衆議院に提出したりと、其意地租以外の財源を以て到底財政計画の基礎を鞏固ならしむるに足らずと為し、即ち他の零細なる歳入に求めずして、専ら地租増徴に依頼せむとするに在りき、然るに閣下の提携を約したる自由党が多く之れに反対するに及で、遂に最初の提案を一変して、五箇年期を条件とせる三分三厘説に折合ひ、以て僅に議会を通過するを得たり、之れを表面より見れば、単に四分案に対して七厘の減率を為したるに過ぎずと雖も、実は財政計画を根本より変更して議会の要求に盲従したるに外ならず、何となれば一定の年期を条件とせる課税法は、既に鞏固なる財政計画の目的と両立せざるのみならず、現に此の減率の結果として、別に歳入の補填を他の三税に求めたる如きは、明白に最初の計画を破壊したるものなればなり即ち定見ある政治家に在ては、斯くの如きは実に不面目の甚だしきものたるに拘らず閣下の内閣が淡然として毫も之れを恥とせざりしは何ぞや。
若し夫れ第
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