攻撃するものに非ず、総て既往十余年間に於ける藩閥政府の議院政略に対しては中心実に感服する能はざるもの多し、最初は超然主義を表面の口実として、裏面に於ては窃に吏党を製造し、而も輿論の勢力終に当る可からざるを見るや、解散を以て議院を威嚇するを唯一の政略と為し、屡々無名の解散を奏請して徒らに民心を激昂せしめ、而して立憲内閣の責任に付ては曾て自ら反省する所なかりき、是れ単に内閣の存立を目的として、時局の大体を観察せざるより来れる暗愚の政略にして、其の最後の勝利が常に議院に帰したりしも復た怪むに足らず、此に於て乎次に政党提携の事あり、称して国務を分担すといふと雖も、実は官禄を懸けて猟官者を買収したるに過ぎずして、真に政党を基礎として内閣の鞏固を謀るの意には出ざりき、憲政党内閣起るに及んで、稍々政党を基礎とするの体相を表示したりと雖も、政党の訓練未だ到らずして権力分配の愚論党人の間に唱道せられ、流石に国民の輿望を負へる内閣も、是れが為に遂に無残の末路を見たりき。
今や閣下の内閣は既に二囘の議会を経過して、閣員に一人の更迭なく、内閣改造の説幾度か自由党に依て唱らるゝも、未だ一個自由党員の入閣したる者あらず閣下は此点に於て確に議院政略の成功を自負するも可なり、さりながら閣下の議院政略は、其実質に於て既往政府の取りたる政略に比して更に恐る可き濁浪を政界に汎濫せしめたり、此の濁浪は党人を溺死せしめ、議院を溺死せしめ、延て政府をして亦溺死せしめむとするの猛力を以て進行しつゝあり、顧ふに閣下は内閣組織の当初より、早く其の政略の弊害斯くの如くならむことを予期せざりしなる可し、唯だ其の如何にもして内閣の存立を永からしめむと欲するに急なる、自ら過失の極処に達するを覚らざるのみ、蓋し閣下は初め猟官を制せむとして或は官吏登庸法を改正し、或は議員の歳費を増加したれども、此れと同時に政治的射利熱を利用して議院を操縦したる結果は、万般の問題総べて賄賂と報酬とに依て決定し、神聖なる議院をして殆ど一種の株式市場たらしめたり、夫れ政治的射利の弊風一たび行はるれば、議員は毫も国庫の支出を惜まずして、唯だ其地位を営利の具たらしめむと謀る、自由党が鉄道国有法案を提議したる如きは即ち此れが為なり、世間或は当期の議会が比較的巨多の議案を成立せしめたるを見て其の成績を著大なりといふものあれども、是れ寧ろ当時議会の腐敗を証
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