じ。有體にいへば、大隈伯よりも伊藤侯を以て自家の榮達を謀るに便宜なりと信じ[#「大隈伯よりも伊藤侯を以て自家の榮達を謀るに便宜なりと信じ」に傍点]、進歩黨よりも政友會を以て多望の未來を有すと認めたればなり[#「進歩黨よりも政友會を以て多望の未來を有すと認めたればなり」に傍点]。固より其の觀察と判斷とは、種々の方面と複雜なる材料を基礎としたるを疑はずと雖も、其の出發點の功名心にして、其の歸着點の榮達に在る可きは、何人も疑ふものある可からず。其の進退條件が政見の異同に關せざるは、彼れが曾つて進歩黨に對して何等の提言なかりしを以ても之れを知る可きのみならず、彼れが終始其の心事を秘密にして、一政友にすら眞實を語りたることなしいふを聞ても、其の如何なる動機に依りて進退したりしかを察するに足る。
凡功名心に富める政治家は、往々榮達の爲に主義政見を一擲するの例少からず。英國現内閣の殖民大臣チヤムバーレーンは、初め急進黨として、愛蘭自治論主張者として、チヤーレス、ヂルクの最親なる政友として、愛蘭黨首領パーネルの熱心なる辯護者として議會に立てり。然るにグラツドストンの自治案一たび出るや、彼れは遽かに之
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