に大なる相違ありと雖も、其の名譽心の頗る旺盛にして、常に身を公衆の眼前に置き、自己の存在の社會に意識せられむことを求むるの點に於ては則ち一なり。彼は大隈伯爵の如く放膽無雙ならず、又大隈伯爵の如く非常に多方面ならず。彼れの世界は殆ど政治に限られたり。然れども彼は此の限られたる世界を成るべく華やかにして、働らき甲斐あらむことを期するが故に、自己の存在の社會に忘れらるゝは、最も彼れの恐るゝ所なり。彼は又大隈伯の如く單に社會の潮流に乘ずる巧妙なる舟子たるを以て甘むぜずして、潮流其物を指導せむとするの慨ありと雖も、要するに風潮以外に立つて獨自一己の理想を保守する人にあらず。若し伊藤公爵と大隈伯爵とを對照せば、伊藤公爵は歐洲大陸の政治家たる面影あり、大隈伯爵は英國政治家の風ありと謂ふべくして孰れも歐洲式の政治家たり。轉じて山縣公爵を觀れば、其生涯は夐然別種なり。彼は明治の歴史に於て最も重要なる部分を働らきたる一人なり。彼は自ら首相となりて内閣を組織したること前後二囘、其の内閣を組織せざる場合に於ても、屡々内閣の製造者たることありて、其の發言は往々内閣の更迭に影響を示したり。彼は所謂る元老團の要素と
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