ふ其の俗論たる所以を解説せむ。
※[#始め二重括弧、1−2−54]三十※[#終わり二重括弧、1−2−55]
山縣相公閣下、凡そ立憲國の内閣に貴ぶ所は、唯だ其の存立の長期なるに在ずして、其の施設の多く且大なるに在り、長期の内閣と雖も、其の施設毫も觀る可きものなくば、則ち短期の内閣と又何の撰む所ぞ、故に我輩は寧ろ能力ある内閣を望みて、單に長期なる内閣を望まず、何となれば能力ある内閣は、たとひ短期にして斃るゝことあるも、尚ほ能く光輝ある成績を留むるを得るに反して、能力なき内閣は、たとひ長期の存立を保つことあるも、決して國家に多大の貢献を爲すこと能はざればなり、况むや長期の内閣は反つて政治上の罪惡を作ること古今其の例に乏しからざるに於てをや。
相公閣下、閣下の内閣は、議會開設以來最も長期の内閣にして、又議會開設以來最も無能力の内閣と稱せらる、顧ふに閣員悉く無能無力なるに非ず、中には多智多才の人物ありと雖も内閣の基礎頗る薄弱にして内は統一の形全く破れて行政機關の作用大に頽廢し、外は野心ある政治家若くは黨與の爲に牽制せられて、曾て自由手腕を揮ふ能はず、而して閣下は強て内閣を維持せ
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