怒りて、爾來閣下と益々情意の疏通を缺くに至れりと、是れ閣下が伊藤侯の野心測られざるを恐れたるにも由る可しと雖も、一は閣下が強て超然内閣の外觀を維持せむとするの謬見より出でたるものに非ずして何ぞや、要するに閣下は現在に於て眞の政府黨を有せざるのみならず、其の政府黨らしきものすらも、日に閣下の内閣と相離れて反つて閣下の死命を制するの政敵たらむとするが如きは、亦豈閣下の宜しく警戒す可き一大危機に非ずと謂はんや。

      ※[#始め二重括弧、1−2−54]十九※[#終わり二重括弧、1−2−55]
 山縣相公閣下、閣下は或は帝國黨を以て内閣の忠僕なりと信ぜむ、然り其の歴史よりいふも、其の關係よりいふも、帝國黨は確かに内閣の忠僕たる可き傾向を有するものなり、さりながら僅々二十餘名の代議士を有する眇たる一小黨は、閣下が果して頼つて以て有力なる忠僕とするに足る可き乎、況むや帝國黨は政治的投機師を以て組織したる烏合の政團にして、殆ど政黨と名く可き實質を具へざるに於てをや、先づ試に其の領袖たる者の如何なる人物なるかを見よ、佐々友房氏は自ら大策士を以て任ずるに拘らず、識慮頗る暗昧にして確然たる定見なき
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