遂げ、復た世に遺憾なきの人なり、顧みて更に大政治家たらむことを望むは、豈閣下の有終の美を成す所以ならむや。
 相公閣下、人生の樂事は自己の天職に忠實なるに在り、閣下曾て日本のモルトケを以て自ら任じたりといふ、而もモルトケは軍人より起りて、軍人に終り、曾て其意を政治上の功名に動かされざりき、是軍事を以て自己の天職なりと信じたればなり、固より我輩は閣下が日本モルトケの自任ありといふを聞て[#「固より我輩は閣下が日本モルトケの自任ありといふを聞て」に傍点]、竊に其の抱負の盛大なるに敬服し[#「竊に其の抱負の盛大なるに敬服し」に傍点]、以て伊藤侯が日本ビスマークを自任する意氣と併稱して近代の雙美たるを疑はずと雖も[#「以て伊藤侯が日本ビスマークを自任する意氣と併稱して近代の雙美たるを疑はずと雖も」に傍点]、但だ我輩は閣下が日本モルトケの自任ありて[#「但だ我輩は閣下が日本モルトケの自任ありて」に傍点]、而もモルトケの如く政治上の功名に淡泊ならざるを甚だ惜むのみ[#「而もモルトケの如く政治上の功名に淡泊ならざるを甚だ惜むのみ」に傍点]。
 或は閣下が自治制度の創意者たりしを以て、閣下に亦た政治的
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