英斷を施し得る如き人物に非ず[#「決して憲法を中止するが如き大英斷を施し得る如き人物に非ず」に白丸傍点]。唯だ侯の系統に屬する屬僚中に無責任の激論を爲すものあるが爲め、世人をして侯を誤解せしめたるのみ。但し昨年伊藤内閣の末路に方りて、宮中に元老會議あり。伊藤侯の提出したる善後策に對して[#「伊藤侯の提出したる善後策に對して」に傍点]、黒田伯の憲法中止論出でたるは[#「黒田伯の憲法中止論出でたるは」に傍点]、事實として傳へられたれども[#「事實として傳へられたれども」に傍点]、是れとても伯が熱心に主張したるには非ざりしといふ[#「是れとても伯が熱心に主張したるには非ざりしといふ」に傍点]。山縣侯の謹愼を以てして[#「山縣侯の謹愼を以てして」に傍点]、豈斯くの如き暴論を唱ふることあるべけんや[#「豈斯くの如き暴論を唱ふることあるべけんや」に傍点]。
余は曾て侯は出處に巧みなる人なりと評したることあり。其今囘に處する所以の者を觀るに、亦頗る其巧處あるに感服すと雖も、侯は到底政治家に非ず[#「侯は到底政治家に非ず」に傍点]。久しからずして必らず退隱せむ[#「久しからずして必らず退隱せむ」に傍
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