なる風貌に於て其の中に見出されしが」に傍点]、其の面影は今も爭はれぬ肖似を認識せしめたりき[#「其の面影は今も爭はれぬ肖似を認識せしめたりき」に傍点]。此石版繪は、彼れが會津征伐より凱旋して、部下の士官を隨へ、江戸市中を遊觀したる時、通り掛けの寫眞屋にて撮影したるものゝ複製なり。彼れは之れを説明しつゝ滄桑の感に堪へざるものゝ如し[#「彼れは之れを説明しつゝ滄桑の感に堪へざるものゝ如し」に傍点]。
 顧れば彼れの出發點は軍人にして、中ごろ改革家と爲り、國會論者と爲り、政黨の首領と爲り、終には社會改良家と爲りて、最も平和なる生涯に入る。是れ譬へば急湍變じて激流と爲り[#「是れ譬へば急湍變じて激流と爲り」に白丸傍点]、更に變じて靜流と爲り[#「更に變じて靜流と爲り」に白丸傍点]、而して後一碧洋々たる湖沼と爲れるが如し[#「而して後一碧洋々たる湖沼と爲れるが如し」に白丸傍点]。此の點よりいへば、人生自然の順序を經過したりといふ可し。然れども彼れの生涯を一貫して渝らざるものは、利害よりも良心に動され易き性情[#「利害よりも良心に動され易き性情」に二重丸傍点]是れなり。是れ彼れの彼れたる所以なり。
前へ 次へ
全497ページ中218ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
鳥谷部 春汀 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング