人心に投ずるものありと雖も[#「頗る一時の人心に投ずるものありと雖も」に白丸傍点]、其の團體の大幹部は[#「其の團體の大幹部は」に白丸傍点]、最も腐敗を極めたる舊自由黨たるを見るに於て[#「最も腐敗を極めたる舊自由黨たるを見るに於て」に白丸傍点]、其の果して能く伊藤侯の理想を實行するを得可きや否やは[#「其の果して能く伊藤侯の理想を實行するを得可きや否やは」に白丸傍点]、暫らく政治的設題として之れを後日の解答者に待たむのみ[#「暫らく政治的設題として之れを後日の解答者に待たむのみ」に白丸傍点]。(三十三年十月)
第四次の伊藤内閣
(上)伊藤侯と憲政
幸運なる伊藤侯は、政治上最も多望なる時代に於て第四次内閣を組織せり。顧ふに侯の出づるや[#「顧ふに侯の出づるや」に白丸傍点]、常に時代に歡迎せらる[#「常に時代に歡迎せらる」に白丸傍点]。而も其の末路は[#「而も其の末路は」に白丸傍点]、常に失敗に終る[#「常に失敗に終る」に白丸傍点]。知らず、第四次内閣の進行は如何。是れ實に、政治家たる伊藤侯の死活問題なり。若し能く國民の冀望を滿足せしむるの施設あらむか[#「若し能く國民の冀望を滿足せしむるの施設あらむか」に傍点]、既徃幾多の失敗は[#「既徃幾多の失敗は」に傍点]、之を償ふて餘りあるのみならず[#「之を償ふて餘りあるのみならず」に傍点]、侯は明治年間第一流の政治家として[#「侯は明治年間第一流の政治家として」に傍点]、永く歴史上の大人物たるを得可し[#「永く歴史上の大人物たるを得可し」に傍点]。若し之れに反して萬一失敗せむか[#「若し之れに反して萬一失敗せむか」に傍点]、侯は到底虚名の政治家たるを免がる可からず[#「侯は到底虚名の政治家たるを免がる可からず」に傍点]。
薩長元勳にして内閣總理大臣たりしものは、侯を外にして故黒田伯あり、松方伯あり、山縣侯あり。されど黒田伯は唯だ一囘内閣を組織したるのみにて、而も極めて短命なる内閣なりき。松方伯と山縣侯とは、内閣を組織したること前後各二囘なりしも、之れを伊藤侯に比すれば、共に人氣ある總理大臣たるを得ざりき。伊藤侯の内閣を組織するや[#「伊藤侯の内閣を組織するや」に傍点]、最初は常に天下に歡迎せられて[#「最初は常に天下に歡迎せられて」に傍点]、最後は常に國民を失望せしむ[#「最後は常に國民を失望
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