變説世に知らるゝこと少なく」に白丸傍点]、伯は意見を發表すること多きが故に[#「伯は意見を發表すること多きが故に」に白丸傍点]、其言質を執らへらるゝこと隨て多きのみ[#「其言質を執らへらるゝこと隨て多きのみ」に白丸傍点]。
されど政治家は道徳家に非ず[#「されど政治家は道徳家に非ず」に白丸傍点]※[#白ゴマ、1−3−29]苟も國民の利害[#「苟も國民の利害」に白丸傍点]、國家の公問題と兩立せざる意見は[#「國家の公問題と兩立せざる意見は」に白丸傍点]、之れを守るも政治家の名譽に非ず[#「之れを守るも政治家の名譽に非ず」に白丸傍点]、之れを捨つるも政治家の恥辱に非ず[#「之れを捨つるも政治家の恥辱に非ず」に白丸傍点]※[#白ゴマ、1−3−29]變ず可くして變じ[#「變ず可くして變じ」に白丸傍点]、捨つ可くして捨つ[#「捨つ可くして捨つ」に白丸傍点]、唯自己の智見と良心とに是れ任す可きのみ[#「唯自己の智見と良心とに是れ任す可きのみ」に白丸傍点]※[#白ゴマ、1−3−29]特に國民を指導する黨首に於て最も其然るを見る[#「特に國民を指導する黨首に於て最も其然るを見る」に白丸傍点]。
伊藤侯は大隈伯の如く未來の問題を語ること少なく[#「伊藤侯は大隈伯の如く未來の問題を語ること少なく」に傍点]、其語るや大抵過去帳の展讀のみ[#「其語るや大抵過去帳の展讀のみ」に傍点]※[#白ゴマ、1−3−29]故に其言質を作ること稀れなる代りに[#「故に其言質を作ること稀れなる代りに」に傍点]、其發表せる意見は[#「其發表せる意見は」に傍点]、國民の記憶を喚び起すの力あれども[#「國民の記憶を喚び起すの力あれども」に傍点]、國民を指導するの生命あるもの甚だ希れなり[#「國民を指導するの生命あるもの甚だ希れなり」に傍点]※[#白ゴマ、1−3−29]是れ亦黨首として大隈伯に及ばざり所以なり[#「是れ亦黨首として大隈伯に及ばざり所以なり」に傍点]。
之を要するに、伊藤侯は政治家としては當今第一流の人物なれども、黨首としては大隈伯の對手に非ず※[#白ゴマ、1−3−29]然るに憲政黨は侯を誘ふて黨首の位地に立たしめむとす※[#白ゴマ、1−3−29]是れ果して憲政黨の利益なる乎※[#白ゴマ、1−3−29]侯にして若し憲政黨に入らば[#「侯にして若し憲政黨に入らば」に白丸傍点]、憲政黨は其組織を一變
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