3−29]請ふ少しく余をして彼れが成功の原因を説かしめよ。
學堂の成功
學堂が成功の一原因は、政治家の凖備と修養とを怠らざる[#「政治家の凖備と修養とを怠らざる」に二重丸傍点]是れなり※[#白ゴマ、1−3−29]顧ふに藩閥の諸老は、大抵立憲大臣としての伎倆なく、取て代る可きの後進政治家も、未だ經國の大才と認む可きもの實際に出現せずして、到る處夜郎自ら大なりとするの斗※[#「竹かんむり/悄のつくり」、第3水準1−89−66]漢が、紛々として互ひに短長を爭ひ、雌雄を問ふを見るのみ※[#白ゴマ、1−3−29]稱して政治家といふと雖も、未だ知らず、政治家たるの準備と素養あるもの果して幾人ぞ※[#白ゴマ、1−3−29]夫れ經國の大才は難し※[#白ゴマ、1−3−29]學堂亦嘗て此れに當るの實力を世間に示したることあらず※[#白ゴマ、1−3−29]故に世間唯だ彼れを大言壯語の虚才として、寧ろ之れを譏笑する多しと雖も、彼れは大言壯語を以て世間を虚喝すると同時に[#「彼れは大言壯語を以て世間を虚喝すると同時に」に白丸傍点]、其平生の抱負を苟且にせずして[#「其平生の抱負を苟且にせずして」に白丸傍点]、孜々として大臣學を修め[#「孜々として大臣學を修め」に白丸傍点]、英雄の課業を研究して休まざるの熱心あり[#「英雄の課業を研究して休まざるの熱心あり」に白丸傍点]※[#白ゴマ、1−3−29]此熱心ありて而る後、大言壯語するときは、即ち其大言壯語も亦終に徒爾ならざる可きを信ずるに足る。
彼れは斯くの如き抱負と熱心とを以て帝國議會に入れり※[#白ゴマ、1−3−29]其言動豈尋常一樣なるを得むや※[#白ゴマ、1−3−29]議會を傍聽する者は、必ず先づ異色ある一代議士を議場に目撃せむ※[#白ゴマ、1−3−29]此代議士は、常に黒紋付の羽織に純白の太紐を結び、折目正しき仙臺平の袴を着けて、意氣悠揚として壇に登るを例となす※[#白ゴマ、1−3−29]是れ衆議院の名物尾崎學堂なり※[#白ゴマ、1−3−29]人は未だ其發言を聞かざるに[#「人は未だ其發言を聞かざるに」に白丸傍点]、先づ其態度の莊重なるに喫驚し[#「先づ其態度の莊重なるに喫驚し」に白丸傍点]、以爲らく未來の立憲大臣たるものゝ態度正に爾かく莊重なるべしと[#「以爲らく未來の立憲大臣たるものゝ態度正に爾かく莊重なるべしと」に
前へ
次へ
全249ページ中190ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
鳥谷部 春汀 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング