らるゝを以て滿足せり[#「少數の共同者に信頼せらるゝを以て滿足せり」に白三角傍点]。彼は細心にして愼獨の工夫あり[#「彼は細心にして愼獨の工夫あり」に白三角傍点]、謹嚴にして妄りに放言高論せざるが故に[#「謹嚴にして妄りに放言高論せざるが故に」に白三角傍点]、彼れの共同者は[#「彼れの共同者は」に白三角傍点]、彼れと秘密を語り[#「彼れと秘密を語り」に白三角傍点]、大事を謀りて危まざるなり[#「大事を謀りて危まざるなり」に白三角傍点]、彼は批評せずして計畫し[#「彼は批評せずして計畫し」に白三角傍点]、實行し[#「實行し」に白三角傍点]、否らずむば沈默するが故に[#「否らずむば沈默するが故に」に白三角傍点]、國民の眼には頗る陰氣にして腹黒き政治家に見ゆるも[#「國民の眼には頗る陰氣にして腹黒き政治家に見ゆるも」に白三角傍点]、彼れの親近者及び共同者に對する行動は[#「彼れの親近者及び共同者に對する行動は」に白三角傍点]、眞摯なる考慮[#「眞摯なる考慮」に白三角傍点]、動搖せざる決斷[#「動搖せざる決斷」に白三角傍点]、負托に背かざる信義[#「負托に背かざる信義」に白三角傍点]、責任に對する大なる信念を以て表現せらる[#「責任に對する大なる信念を以て表現せらる」に白三角傍点]。山縣公爵は稍々是れに類する政治家なり[#「山縣公爵は稍々是れに類する政治家なり」に白三角傍点]。其の公衆に歡迎せられずして、而も猶ほ能く政治界の一大勢力たるは、彼れの人格が少數共同者に信頼せらるゝ所あるが爲なり。顧ふに彼れの共同者若くは親近者の中にも、感情趣味に於て彼れと相容れざるもの之れあらむ。然れども終に彼れに對して惡聲を放つものなきは、彼を以て與に樂むべからざるも[#「彼を以て與に樂むべからざるも」に白丸傍点]、相信頼するに足るの人なりと爲すに由れり[#「相信頼するに足るの人なりと爲すに由れり」に白丸傍点]。世間或は彼を徳川家康に比す。蓋し陰忍老獪にして權謀に富めること二人相同じと爲すなり。安んぞ知らむ[#「安んぞ知らむ」に白丸傍点]、二人の最も相似たる所は[#「二人の最も相似たる所は」に白丸傍点]、其の共同者をして信頼せしむるに足るの確乎不拔なる資質に存することを[#「其の共同者をして信頼せしむるに足るの確乎不拔なる資質に存することを」に白丸傍点]。豈唯だ陰忍老獪にして人の信頼を得ること
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