、今は樞密院に隱るゝ人なれども、山縣侯一たび之れを招げば[#「山縣侯一たび之れを招げば」に白丸傍点]、履を逆まにして之れに馳せむ[#「履を逆まにして之れに馳せむ」に白丸傍点]※[#白ゴマ、1−3−29]看來れば山縣系統の四方に蔓引すること實に斯くの如きものあり。
 此故に侯が政府部内及び貴族院に於ける潛勢力は[#「此故に侯が政府部内及び貴族院に於ける潛勢力は」に傍点]、薩長の元勳中一人として之れに及ぶ者あるなし[#「薩長の元勳中一人として之れに及ぶ者あるなし」に傍点]※[#白ゴマ、1−3−29]先づ政府部内に就ていはむか、内務省は近來自由派の爲めに踏み荒されたれども、山縣侯が曾て久しく統治したる領分なれば[#「山縣侯が曾て久しく統治したる領分なれば」に傍点]、其根據の鞏固なる容易に拔く可からざるものあり[#「其根據の鞏固なる容易に拔く可からざるものあり」に白丸傍点]※[#白ゴマ、1−3−29]司法省に於ける山縣系統は亦頗る廣く、其[#「其」に白丸傍点]清浦派[#「清浦派」に丸傍点]と目せらるゝものは[#「と目せらるゝものは」に白丸傍点]、總べて山縣系統と認めて可なり[#「總べて山縣系統と認めて可なり」に白丸傍点]、遞信省は之を前にしては野村靖[#「野村靖」に丸傍点]子に依て、之れを中ころにしては、故白根專一[#「白根專一」に丸傍点]男に依て、之れを今にして芳川顯正[#「芳川顯正」に丸傍点]子に依て其山縣侯の領分を開拓したること少なからず[#「其山縣侯の領分を開拓したること少なからず」に傍点]※[#白ゴマ、1−3−29]若し夫れ陸軍省に至ては、是れ殆ど侯ありて始めて陸軍省ありと謂ふ可くして[#「是れ殆ど侯ありて始めて陸軍省ありと謂ふ可くして」に白丸傍点]、侯が外に在るの日と雖も[#「侯が外に在るの日と雖も」に白丸傍点]、侯の威信は隱然として省中の魔力たり[#「侯の威信は隱然として省中の魔力たり」に白丸傍点]※[#白ゴマ、1−3−29]而して侯の系統の及ばざる所は、薩人の領分たる海軍省と赤門、茗溪兩派の爭點たる文部省及び松方伯の根據たる大藏省にして、農商務省は曾て品川子[#「品川子」に丸傍点]の大臣たりし時、多少山縣侯の系統を引き入れたることあるは人の知る所なり※[#白ゴマ、1−3−29]次に貴族院に就て之れをいはゞ、彼の研究會の如きは[#「彼の研究會の如きは」に傍点]
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