ある。「覆面算」といふのは、數字が虫に喰はれて穴があいてゐるのではなく、文字又は符號の覆面をつけてゐる運算なのであつて、皆さんたち名探偵はその覆面を推理の力で叩き落として數字を剥し出すのだ。
この兩方をひつくるめて、ここに「“虫喰ひ算”大會」を開いてあるが、會場の初めの方はやさしいが、だんだん後の方の會場となるとむつかしくなる。その代り「虫喰ひ算」の魅力はだんだんに強く加はり、最後の第三十會場までが殘り少くなるのが惜しまれるやうになるであらう。第一會場を合格すれば第一階選士と名乘る。が、第三十階選士となるには、とてもたいへん[#「たいへん」は底本では「たへいん」]である。
やさしい問題は國民學校の二年生でも解ける。一等むつかしい問題でも、中學生なら解けるであらう。しかもこの「虫喰ひ算」の魅力は大學教授をして鉛筆を嘗めながら呻らせる魔力をも備へてゐて、實に神祕なところがある。
本書にはわざと空白を用意してあるが、そこでは部分的計算や、やりかへしをするためにせいぜい鉛筆を運動せられて然るべし。
本書には全部で百三十二箇の問題を集め得たが、これだけ集めるのはずゐぶん苦心し、且つ長い年
前へ
次へ
全75ページ中2ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
佐野 昌一 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング