9と1と1と、一位からくりあがつた1とを加へると、その結果は12[#「12」は縦中横]となる。しかるに、十位の合計の十の位は9となつてゐて、2ではない。これはつまり十位の□を加へてないからかうなるわけだから、9から2を引いて7、この7が□の數字と決まる。そこで計算を整理すると次のやうになる。

  1□92
  2971
  9712
+ 2□17
――――――
 17592

 その次は百位だ。これは今までのやうには行かない。□が二つもあるからだ。分つてゐる9と7とを加へ、それに十位から上がつてきた1を加へて17[#「17」は縦中横]となる。この縱列の合計の百位の數字は5であるから、□と□との合計は8であるかもしれず、18[#「18」は縦中横]であるかもしれない。さあ分からなくなつた。
 が困ることはない。もう一つ上の千位の數字を見ると、この縱列には□がない。1と2と9と2を加へて14[#「14」は縦中横]となるが、下の合計では17[#「17」は縦中横]となつてゐる。すると百位から千位へ送られた數字は17[#「17」は縦中横]から14[#「14」は縦中横]を引いた3だと分かる。
 さうなると百位の二つの□の和は8ではなくて18[#「18」は縦中横]であらねばならぬ。18[#「18」は縦中横]でないと、3は上つてこない。
 これで一應解けたわけだ。□と□の合計が18[#「18」は縦中横]となる關係があれば、どんな數字でもいいのだ。いや、どんな數字といふわけにもいかない。二數字の和で18[#「18」は縦中横]なら、いづれも9である外にない。なぜなら9以上の數字はこの縱列に存在しないわけで、ぜひとも9でなければならないのだ。そこで答は上の如く決まつた。

  1992
  2971
  9712
+ 2917
――――――
 17592

 同じ加へ算でも、「覆面算」ふうなものが加はつた場合がある。次の例題がそれだ。

【例題二】Nといふ文字で現された數字が五箇所に入つてゐる加へ算である。もちろん、どのNも同じ數字である。

  2N8
  2N2
  88N
+ N2N
―――――
 2164

 この配列を見ると、どこから手をつけていいか分らぬやうであるが、しばらく見てゐると鍵が發見される。それは一位の四數字の和が8と2と二箇のNであり、また十位の四數字も同じく8と
前へ 次へ
全38ページ中4ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
佐野 昌一 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング