と落ちたやうであつた。
人々が再びあたりを見廻すだけの勇氣が出たとき、ライフはめちや/\に、見分けもつかぬやうになつて、其處にころがつてゐた。
娘は石の上に倒れた。父親がそれを抱き起した。
ライフを一番そゝのかした青年は、今、手を貸して、彼の扶けにならうとはしなかつた。誰も彼を正視することはできなかつたのだ。
そこで年寄たちが出なければならなかつた。そのうちの一番年長者はライフの方へ手を出しながら言つた――
「これは馬鹿げたことだつた。けれども――」
と、彼は言ひ足した。
「それも善いことだ、誰にもとゞかれない、あんな高い處に、何かゞ懸つてるといふことは――」[#地から2字上げ](をはり)
底本:「北歐近代短篇集」白水社
1939(昭和14)年6月30日発行
入力:鈴木厚司
校正:土屋隆
2008年3月21日作成
青空文庫作成ファイル:
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