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シャルロッタが白い服をきて、舞台をよこざる。すこぶる痩《や》せた体を、ぎゅっと緊《し》めあげるような着こなしで、バンドに柄《え》つき眼鏡をさげている。
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ロパーヒン どうも失礼、シャルロッタさん、まだご挨拶をしませんでしたね。(彼女の手にキスしようとする)
シャルロッタ (手を引っこめながら)あなたに手をキスさせたら、次には肘《ひじ》とおいでなさるでしょうよ、それから肩とね……
ロパーヒン どうも運が悪い、今日は。(一同わらう)シャルロッタさん、手品を見せてくださいよ!
ラネーフスカヤ ほんとにシャルロッタ、手品を見せてちょうだい!
シャルロッタ だめです。わたし眠いんですから。(退場)
ロパーヒン 三週間したらお目にかかります。(ラネーフスカヤ夫人の手にキスする)ではそれまで、ご機嫌《きげん》よう。もう時間です。(ガーエフに)ではまた。(ピーシチクとキスをかわして)さようなら。(まずワーリャと、ついでフィールス、ヤーシャと握手して)発ちたくないなあ。(ラネーフスカヤ夫人に)別荘の件をとっくりお考
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