その通り! (驚嘆して)こりゃ、どうだ!
シャルロッタ (手の平にカードを一組のせて、トロフィーモフに)早く言ってください、一ばん上のカードは?
トロフィーモフ なにさ? じゃ、スペードのクイン。
シャルロッタ はい! (ピーシチクに)では? 一ばん上のカードは?
ピーシチク ハートのエース。
シャルロッタ はい! ……(手の平を打つ、カードの一組きえ失《う》せる)さて、今日はなんていいお天気でしょう! (不可思議な女の声が、さながら床下からひびくように答える、――「ええ、ほんとに、いいお天気ですこと、奥さん」)あなたは、なんとも申しぶんのない、わたしの理想の人よ。……(声、――「わたしも、奥さん、あなたが大好きです」)
駅長 (拍手する)よう、腹話術の名人、ブラヴォー!
ピーシチク (驚嘆して)こりゃ、どうだ! いや、あなたは魔女か妖精《ようせい》か、シャルロッタさん……わしはすっかりあんたに惚《ほ》れましたよ……
シャルロッタ 惚れたですって? (肩をすくめて)あなたに恋ができまして? Guter《グータ》 Mensch《メンシ》, aber《アーバ》 schlechter《シレヒ
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