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ワーリャおびえて、声を立てる。
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ロパーヒン (憤然として)無作法にも程度というものがあるぞ。
ラネーフスカヤ (怖気《おじけ》づいて)持ってらっしゃい……さあ、これを……(巾着《きんちゃく》の中をさがす)銀貨がないわ。……まあいい、さ、この金貨を……
浮浪人 ご親切に、おそれ入ります! (退場)
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笑い。
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ワーリャ (あきれて)わたし行くわ……あっちへ行くわ。……お母さまったら、うちの人たちに食べさせる物がないというのに、あんな男に金貨をやるなんて。
ラネーフスカヤ わたし馬鹿《ばか》なんだもの、仕方がないわ! うちへ帰ったら、わたしの手持ちを残らず渡すからね。ロパーヒンさん、また貸してちょうだい! ……
ロパーヒン 承知しました。
ラネーフスカヤ さあ行きましょう、皆さん、時刻ですわ。そうそうワーリャ、さっきここでね、お前の縁談をととのえましたよ、おめでとう。
ワーリャ (涙ごえで)そんなこと、冗談に仰《
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