せんか。多少減つたでせうね」
私の問ひに、清水氏は、得意らしい微笑を浮べ、
「ところが、ちつとも減りません。なるほど、例の通州事変の後、一時、この界隈に匪賊化した敗残兵が出没して、夜道はむろん危険ですし、何処の家でも戸を閉めて子供を外に出さないことがありました。それが一週間も続きましたかな。この間、生徒がぐつと減りました。が、それも、だんだん落ちつくに従つて、もともと通りになりました」
「すると、生徒の父兄は、この学校を信じきつてゐるわけですね」
「事変前の空気にくらべて、今は却つてよくなつてゐるくらゐでせう。私の仕事も、ですから、ずつと楽になると思ふんですが、或る意味では、かういふ特殊な事情を背景に、自分の仕事を発展させる野心など私にはないのです。寧ろ、これからは、もつと奥へはひつて行つて、未墾の土地へ根をおろさうかと思つてゐるくらゐです」
「こゝで女学校程度の教育を受けたものは、どういふ将来が約束されるのですか」
「なにしろ、殆ど家庭的には恵まれない女の子たちばかりですから、大がいは、職業につきます。希望者は日本へ送つて高等の教育を受けさせるやうにしてゐます」
「今、読んでいたゞ
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