、私は、二三の日本側の主要人物を訪れた。
誰がどう云つたといふことをこゝでいちいち言ふ必要はあるまい。
――雑誌に書くんだらう。それぢや、話すわけにいかん。もう少し待つてくれ。
――文化工作なんて、まだ早いよ。なんにもそんなことは考へてゐない。今は戦争の最中だ。非文化的なことをやつとるんだ。毀す一方さ。ハヽヽ。
――われわれは、戦争の方は引受ける。あとは、誰か出て来てやつてくれるだらう。
――いつたい、内地で、かれこれ云ひすぎるよ。一種の自己満足だ。知識階級にはさういふ傾向が多くていかん。こいつは相手を乗ぜしめる隙になるといふことがわからんとみえる。怪しからんよ。当分、出先のものに委せておいたらどうだ。
――大学か、大学なんか、こゝにはいるまい。奴らにそんな智恵をつけてなにになる。だが、これや、まあ、どうなるかわからん。
――自然発生的なものが一番いゝと思ふんです。そのうちから、われわれが、これとこれといふ風に撰択するより外ありますまい。無理に作り上げたり、お膳立てをしてやつたりする方法は避けたいと思ひます。
――文化工作は、今着々計画を進めつゝありますが、抑も北支なるものは、歴史的、地理的、風俗的に、支那の他の如何なる部分とも区別さるべき特性があることは云ふまでもありません。従つて、政治、経済、文化の諸部門に於て、その特性を生かすことを先づ考へねばならず、それがためには従来の対支観念を清算して……。
――役人のやることは一から十まで駄目、民衆と民衆との結びつきを土台として、将来の北支文化なるものは建設されなくてはならんと思ふのですが、それがためには、……云々。
内地ばかりでなく、こゝでも、かれこれと云はれてゐるのを、私は当然なことゝ考へた。
みんなが真面目に日本と支那のことを考へてゐてくれるなら、私ごときが、なにも心配することはないといふ結論に達し、なまじ好い加減な予想など植ゑつけられないうちに、遠くから大勢の定まるのを見てゐた方がわれわれには面白いかも知れぬと、私は、ひとまづこの政治的雰囲気から逃れ出た。
O氏は、私の公用(?)が済むのを、いつもほつとしたやうに迎へてくれる。
「さあ、これからどこと、どこを廻つて……」
といふ風に、なかなか時間を無駄にしない。
「えゝ、えゝ、あとは君の連れて行つて下さるところへ参ります」
と、私は、心
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