られると思ふのであります。先程佐藤尚武先生が自信と自惚とは違ふといふ意味のことをおつしやいましたが、まさか諸君に自惚があるとは思はれませんが、夢を描けると思つて実現する能力が出来たと思はれたらそれは誤りであり、どうかその誤りを犯さないで頂きたい。私は大政翼賛会の仕事の上でさま/″\の夢を描いてをりますが、いざとなるとそれを実現する力が自分に一つもないことを毎日痛感してをるものであります。しかし諸君が大いに励まれるならば、私どもの恐らく成し遂げ得ないことを成し遂げ得らるゝであらうことを信じます。どうか諸君の力によつてそれを打ち樹てゝ頂きたい。これが我々の世代から皆さんの新しい世代への唯一の最も痛切な願ひであります。
底本:「岸田國士全集25」岩波書店
1991(平成3)年8月8日発行
底本の親本:「婦人之友 第三十六巻第三号」
1942(昭和17)年3月1日
初出:「自由学園男子部第一回卒業式講演」
1941(昭和16)年12月8日
「婦人之友 第三十六巻第三号」
1942(昭和17)年3月1日
入力:tatsuki
校正:門田裕志
2010年3月1日
前へ
次へ
全4ページ中3ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
岸田 国士 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング