よき協力者の賜である。
 稽古の日数がもつと十分与へられ、俳優諸君が、もう少し、これらの戯曲を演ずるに適した素質と教養とをもつてゐたら、この芝居は、その「面白さ」からいつて、日本の芝居の記録を破り得たであらう。
「ルリユ爺さん」の舞台が、装置衣裳を含めて、恐らく、新劇中の新劇であつたことも注意すべきである。「南の風」が、ルナアルよりも辰野隆氏の好みに近いものであるのは当然として、日本に若し、国立劇場でもあつたら、これは早速、その上演目録中に加へらるべきものだと私は感じた。歌舞伎にも新劇にも愛想をつかしてゐる紳士淑女は、これならと云つて飛びつきさうなものである。(一九三四・七)



底本:「岸田國士全集22」岩波書店
   1990(平成2)年10月8日発行
底本の親本:「現代演劇論」白水社
   1936(昭和11)年11月20日発行
初出:「劇作 第三巻第七号」
   1934(昭和9)年7月1日発行
入力:tatsuki
校正:門田裕志
2009年9月5日作成
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