ちてゐるのであります。
 日本文化の精髄は、実にこの心と心を繋ぎ、力を力に積み重ね、「個」を「衆」のうちに没し去つた生命の泉を基調としたものだと考へられます。民族の天才は、一人一人の精神に宿らないで、むしろ、国民の歴史の一時期を生んでゐるといへるのであります。この見方からすれば、わが国の発展にとつて、専門家の孤立割拠ほど無意味なことはなく、国民の一致協力ほど必要なものはありません。
 大政翼賛会文化部は、単に政府側関係官庁と表裏一体となつてその職責を遂行するばかりでなく、文化に関する各職能部門の綜合事務局たる責任を果すつもりであります。(昭和十六年二月)



底本:「岸田國士全集25」岩波書店
   1991(平成3)年8月8日発行
底本の親本:「生活と文化」青山出版社
   1941(昭和16)年12月20日
初出:「文化の新体制(大政翼賛叢書第六輯)」大政翼賛会宣伝部
   1940(昭和15)年12月15日
入力:tatsuki
校正:門田裕志
2010年1月20日作成
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