の開いてゐる間でも、一寸役者の白《せりふ》が途切れると、あつちでもこつちでも咳をする。
 私の知つてゐるある婦人は、なんでも静かにしてゐようと思ふと自然に咳が出るさうである。つまり、呼吸《いき》をこらすと咽喉がむづ/\するんだらう。これなどは、生れながら風邪を引いてゐる証拠である。
 今年は私もせいぜい風邪を引かう。



底本:「岸田國士全集21」岩波書店
   1990(平成2)年7月9日発行
底本の親本:「時事新報」
   1929(昭和4)年1月3、4日
初出:「時事新報」
   1929(昭和4)年1月3、4日
入力:tatsuki
校正:門田裕志
2007年11月14日作成
青空文庫作成ファイル:
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