段々発達しまして、それが完全な今日の姿に成る迄に非常な影響を与へ、又同時に歌舞伎劇の方からも色々なものをとり入れた一つの変つた演劇形式があります。これは日本人形劇であります。今日文楽と呼んで居る人形劇は、之は世界の、色々の人形劇の中で其の技巧が、非常に細かく洗練されて居る点で無類と思ひます。もう一つは新らしい芝居である現在の新興演劇の中にも色々な種類があります。日本在来の古典劇の系統を引き、其の伝統の中から新らしいものを生み出さうとする傾向もありますし、又一方では西洋の芝居の伝統と技術とをとり入れて、そうして日本人の生活の中でこれを生かさうとする一つの新らしい運動もあるのであります。それから西洋劇の中でも特に楽劇、オペラの系統を引いたものが矢張り今日の日本では色々研究されて居ります。其他もつと通俗的な所謂娯楽を主とするスペクタクルが非常に沢山ありまして、若い娘、年少の女性許りを以て出来てゐる、所謂少女歌劇などは変つたものであります。一方では即興的な対話を聴かせる漫才、其他喜劇的な要素をもつ寄席の芸が街に溢れてゐるといつてもよいのでありまして、斯ういふものゝ上に更に機械文明の生みました、
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