かを力説する。更に片つ方が親友と旅行する計画について吹聴すると、片つ方は、教会の集りで、余興委員に挙げられたことを自慢するといふ具合に、そのへん、なかなか、聴く方でも骨が折れる。
[#ここから5字下げ]
扉をノツクする音。
[#ここで字下げ終わり]
[#ここから改行天付き、折り返して1字下げ]
一寿 アントレエ!
[#ここから5字下げ]
愛子が、すばらしい洋装で現はれる。
[#ここで字下げ終わり]
[#ここから改行天付き、折り返して1字下げ]
一寿 (わざと、西洋紳士が貴婦人を迎へ入れる時のやうな調子を真似て)ビヤン・ヴニユウ・シエエル・マダム。(それから、椅子をもう一脚火鉢のそばへ寄せながら)アツソイエ・ヴ・マダム・ラ・ヴイコンテス!
愛子 (父親の道化芝居には目もくれず、いきなり、姉の方に向つて)どう? 忙しい?
悦子 愛ちやん、今日は一生の仲直りしませう。あたし、今度、遠くへ行くことになつたの。
一寿 (驚いて)何処へ行くつて?
悦子 まだ、はつきり決めてないの。なるべく遠くへ行つちまふつもりよ。
愛子 なあぜ。
悦子 少し、わけがあつて……。ゆつくり話
前へ
次へ
全70ページ中60ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
岸田 国士 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング