の。――一番おすましはだあれだ――つて、それはお姉さんが出したのよ。さうしたら、兄さんと岡田さんが、一緒に――タドンコロンつて、あの人の綽名よ、さう云つたら、あの人がいきなり、――僕の隣りの人つて云ふの。あたしのことよ。でも、多数決だから、あの人の負けよ。その次ぎ、岡田さんだつたかが――一番黒いのだあ……つて云ひかけた時、あたし、丁度、コンパクトを出してたもんだから、いきなり、それで、――この人つて、指さうと思つたら、それが、生憎、あの人の鼻へさはつちやつたの。
一寿  (考へて)白くついたわけだね。(長い沈黙)で、あとは、みんなその程度のことか。もそつと、深刻なのはないか?
愛子  ぢや、みんな云つちまふわ……。ほら、みんなが酔つ払つて、宿屋へ泊らうつてことになつたでせう。男三人と、女二人、もちろん別々の部屋に寝たのよ。そのうちに、男の方で、ぐうぐう鼾が聞えて来たわ。ただ、そのうちで、あの人だけが、何時までも歌を唄つてるの。低い声だけど、節なんかはつきり……。
一寿  寝言ぢやないんだな。
愛子  ええ。姉さんは、蒲団を引つかぶつて、何処が頭だかわからないやうにしてるし、あたしは、そ
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