」などといふものは夢にも達成できないと思ふ。お義理の見物や、附和雷同の徒をファンと呼ぶ間は、新劇団の存在も誠に心細いといはなければならぬ。
 新築地劇団は、歴史も古く、有為な俳優に富み、傑れた協力者の名も見えるやうであるから、新協劇団と並んで、僕たちの望んでもできないやうな仕事を見せてくれることと思ふが、ジャンルの如何、イデオロギイの如何を問はず、新しいそして純粋な「演劇美」の厳粛な創造に向つて、頭の下るやうな仕事を見せて欲しいものである。(一九三五・五)



底本:「岸田國士全集22」岩波書店
   1990(平成2)年10月8日発行
底本の親本:「現代演劇論」白水社
   1936(昭和11)年11月20日発行
初出:「新築地 第七巻第二号」
   1935(昭和10)年5月27日発行
入力:tatsuki
校正:門田裕志
2009年9月5日作成
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