成るべく「面白い舞台」を作り上げようと骨を折つてゐるのです。従つて、芝居の好きな人なら、きつと――そのうちには、きつと好きになれるやうな芝居をやらうと思つてゐます。それにしても、芝居といふものを窮窟に考へて、例へば、かういふやうなものでなければ芝居ではないと思つてゐる人は、新劇協会の芝居を観て、きつと初めは、「あれが芝居か知ら」と思ふでせう。さういふ人は、是非、もう一度観に来て下さい。少しづゝ、「なるほど、これも面白い」と思ふやうになるでせう。
 さうなれば、新劇協会は、自活できるのです。いや、日本の新劇は、先づ、自活の道を見出すのです。
 日本の新劇が自活の道を見出すといふことは、即ち、日本に「現在の演劇」が生れることです。日本も、西洋並に、「新しい文化」をもち得るのです。



底本:「岸田國士全集20」岩波書店
   1990(平成2)年3月8日発行
初出:「新劇協会 第一号」
   1927(昭和2)年6月5日発行
入力:tatsuki
校正:門田裕志、小林繁雄
2005年10月6日作成
青空文庫作成ファイル:
このファイルは、インターネットの図書館、青空文庫(http://w
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