渡及喬野橋梁ヲ占領シ退路ヲ遮断セシムルト共ニ主力ヲ以テ将軍※[#「广+苗」、第4水準2−12−7]局地内ノ敵ヲ捕捉殲滅シタル後喬野ノ敵ヲ攻撃撃滅スヘシ
久田軍医及○号無線○機ヲ属ス
五、討伐後五又港――喬野道及喬野附近全橋梁及陣地ハ完全ニ破壊シ敵ヲシテ喬野以南地区ニ再ビ出動シ得サラシムルヲ要ス
六、○砲兵第○○隊ヲ指揮シ十月二十一日夜半「トラツク」ニ依リ楊州出発軍工路守備隊附近ニ至リ陣地ヲ占領シ七時三十分以後命ニ応シ喬野陣地ヲ射撃シ得ルノ準備ニ在ルヘシ
七、合言葉○○――○○
標識 国旗ヲ高ク左右ニ振ル
要スレハ喇叭「大熊部隊」
夜間ハ懐中電燈ヲ以テ円ヲ描ク
八、各部隊ハ通例ノ弾薬ノ外朝昼食携帯口糧一食分ヲ携行スヘシ
九、予ハ左翼隊ト行動ヲ共ニス
[#ここで字下げ終わり]
[#地から2字上げ]○○地区○○部隊長
以上の作戦命令により各部隊それぞれ行動を開始した。
偵察による敵の兵力は、推測し得る増援隊の兵力を除いても、優に我れに倍するものであることがわかつてゐた。
私はこの大胆な攻撃計画が、小川部隊長の自信の発露とみて、その成功を疑はなかつた。
やつと服装を整へて二階のヴェランダに出た。
月明に照し出された楊州の街は、静かに眠つてゐる。寒いといふほどではないが、夜気しんしんとして身に沁み、拍車をつけた靴が重い。
副官は、その当番の今井一等兵を私のために特に本部一行のうちに加へてくれる。
今井君は、偶然、東京の私の住ひを知つてゐるといふ。わけを訊くとその筈である。伯父さんが西荻窪の金物商で、同君はその店でずつと働いてゐた青年なのである。
「弁当と鉄兜は私が持つて参りますから」
「どうもありがたう」
小川隊長は、私に、寒ければ自分のマントを貸さうと云つてくれたが、私は内地を出る時義弟の吉田大佐から古い将校マントを貰ひ受けて来てゐるので、それを出して着た。
本部の前には自動車が用意されてゐて、私は隊長と同乗を命ぜられた。桂班長も同じ車であつた。
城門を出ると、邵伯鎮に通ずる一直線の軍工路が続いてゐる。こゝにも所謂国民政府の軍事施設が及んでゐるのである。途中、大きなクリークにかゝつてゐる立派な橋を二つ越えた。いづれもわが軍の歩哨が立つてをり、隊長の車はその前を徐行して親しく敬礼を受けるやうになつてゐる。
「異状ありません」
歩哨の声
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