らしめる運動は、現在の日本にあつては、必然的に二つの道を採らなければならぬ。即ち、初期の築地小劇場式常設研究劇団の組織と、嘗ての自由劇場式職業俳優団の示威的定期興行である。
 前者は兎に角、後者は、今後心ある俳優、作者、見物の協力によつて、案外容易に実現する可能性がありはせぬかと思ふ。但し、この運動は表面、商業主義への挑戦であるかの如く見えて、実は、現在の劇場組織と結びつかねばならぬところに、やや困難な問題もあるが、理解ある興行主は、目前の利を離れて、この企てを賛助し、「劇道救済」の戦線に参加するであらう。(一九三一・一)



底本:「岸田國士全集21」岩波書店
   1990(平成2)年7月9日発行
底本の親本:「現代演劇論」白水社
   1936(昭和11)年11月20日発行
初出:「都新聞」
   1931(昭和6)年1月14日
入力:tatsuki
校正:門田裕志
2007年11月20日作成
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