分の仕事は無意義でない」と思つてゐる。キユレルなども、その点にかけては、頼母しい先輩だと云ふ話である。
 一興行二時間半乃至三時間半、その間に、一作家の一作品を上演する。それが原則であるから、劇場主と作者と主役俳優との関係は頗る緊密である。一つの出し物が「当れ」ば幾月でも打ち続ける。歩合でふくらむ作者の懐ろ加減想ふべしである。
 たゞ、営利を目的としない劇場では、交互上演法によつて、出し物を毎日入れ替へる。一攫千金を夢みる作者は、かう云ふ劇場をあまり悦ばない。
 作者対劇場主及俳優の問題について、いろいろ研究すべきこともあるが、あまり立ち入つた話しはやめにする。
 序に、劇作家協会は作曲家協会と合併したことを附け加へて置く。協会の内容は、何時かもつと詳しく紹介したいと思つてゐる。



底本:「岸田國士全集19」岩波書店
   1989(平成元)年12月8日発行
底本の親本:「新選岸田國士集」改造社
   1930(昭和5)年2月8日発行
初出:「演劇新潮 第一年第四号」
   1924(大正13)年4月1日発行
入力:tatsuki
校正:Juki
2006年2月20日作成
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