たる存在にすぎなかつたとしたら、近代演劇の進化は、甚だ頼りないものであるが、芸術の歴史には、間々、この種の皮肉が繰り返される。
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「演劇に革命の必要はない。演劇の本質は、古今の傑作戯曲の中に悉く含まれてゐる。われわれは、それらの作品の忠実な使徒たることを寧ろ矜りとするものである」
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この宣言は、近代仏蘭西演劇の最も先駆的な指導者の一人、ジャック・コポオ氏の口から発せられたものであるが、この謙譲にして確信に満ちた言葉を、私の「近代劇小論」の結語としておかう。(一九三四・二)
底本:「岸田國士全集22」岩波書店
1990(平成2)年10月8日発行
底本の親本:「現代演劇論」白水社
1936(昭和11)年11月20日発行
初出:「岩波講座世界文学第十三回」岩波書店
1934(昭和9)年2月5日発行
入力:tatsuki
校正:門田裕志
2009年9月5日作成
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