的奇習と方言」の存在である。文学が等しく「世間」を描いて、しかも、そのうちに「世間」を住はせない狭量または潔癖である。自分のうちにないものを、あるかの如く見せる幼稚な手品は、往々にして、非文学的俗臭を放つことがある。訛る標準語と同様、世間の識者を茫然自失せしめる所以である。
 実際、かういふことをむきになつて云ひ出しても、文学の面貌が一新するまでには、五十年はかかるだらう。(一九三六・一)



底本:「岸田國士全集23」岩波書店
   1990(平成2)年12月7日発行
底本の親本:「時・処・人」人文書院
   1936(昭和11)年11月15日
初出:「文芸懇話会 第一巻第一号」
   1936(昭和11)年1月1日
入力:tatsuki
校正:門田裕志
2005年2月22日作成
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