「モンテーニュ随想録」(関根秀雄君訳)
岸田國士
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私は本年度文芸懇話会賞候補作品として、関根秀雄訳「モンテーニュ随想録」を推薦したものの一人である。
同じく本書を推薦した他の会員諸氏は、何れもそれぞれの理由をもつてゐる筈だが、私は特に委員会の指命に従つて、自分一個の推薦理由を公表することにする。
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一、文芸懇話会賞は翻訳にも与へ得る規定がある以上、毎年といふわけには行くまいが、特に翻訳文学史上劃期的な収穫と見るべきものには、これを適用すべきであるといふのが私の意見であつた。幸ひ昨年度に於て、関根秀雄氏の「モンテーニュ随想録」三巻の名訳が完結し、専門家の間は勿論、これを識る人々の満場一致的賞讃を博したことから見て、本書の如きは最も適当な候補作品であると私は信じた。
二、翻訳の価値は何によつて決するかといふ問題は、甚だデリケエトである。一方、創作との比較評価の如きは、まつたく無意味に近い。
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