むものがあつて、初演の時のは不幸にしてその初めの方だつたわけである。
委しく云へば、写実的な、問題として比較的厳粛な事件や境遇を取扱つた作品は、俳優が少々下手でも、十分な効果が上らないといふ程度で、不快で見てゐられないといふことはないけれども、私の作品のうちで、どちらかと云へばロマンチックな傾向のものとか、リヽカルなもの、またはユーモアやウヰットなどを主にしたものは、気分が主な要素になつてゐるだけに、悪く行くと鼻持ちのならない醜悪なものになり易いのである。つまり、さういふ危かしさを持たない、手堅い作品ならば、一番無難であるとは確かに云へると思ふ。
底本:「岸田國士全集20」岩波書店
1990(平成2)年3月8日発行
底本の親本:「文章倶楽部 第十二巻第十一号(戯曲研究号)」
1927(昭和2)年11月1日発行
初出:「文章倶楽部 第十二巻第十一号(戯曲研究号)」
1927(昭和2)年11月1日発行
入力:tatsuki
校正:門田裕志、小林繁雄
2006年2月17日作成
青空文庫作成ファイル:
このファイルは、インターネットの図書館、青空文庫(http://www.aozora.gr.jp/)で作られました。入力、校正、制作にあたったのは、ボランティアの皆さんです。
前へ 終わり
全4ページ中4ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
岸田 国士 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング