「せりふ」について
岸田國士
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)白《せりふ》
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#二の字点、1−2−22]
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舞台に於ける俳優の「白《せりふ》」については、今いろいろ考へてゐることもあるが、戯曲としての「対話」といふやうなことは、もう自分で意識することも厭になつてゐるので、わざわざ理窟をつける気がしない。若し参考になるなら、もう十年ばかり前に私の書いた「我等の劇場」といふ文章を読んで貰へばいゝと思ふ。
しかし、折角の注文ではあるし、重複するかも知れないが、「劇の文体」といふことで少し述べてみよう。
戯曲は、昔から、詩と小説とに対して、文学的創作の一種目になつてゐるが、その本質から云つて、無論、「語られる言葉の効果」即ち、書かれた言葉が肉声化された場合の「魅力」を第一に計算しなければならぬ。従つて、同じく対話の形式でも、たゞ、「問答風」に書かれるばかりでは役に立たぬ。六ヶ敷く云へば、文体としては、誘導性のあ
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