學より招待により著名なる物理學者電氣工學者會合し 祝意を兼ねて互に談論した。その節プランク先生は宴會において縷々マツクスウエルの功績を英語で述べられたが 先生の英語演説を聽いたのはこれが初めてであり また終りであつた。
この席に列した外國よりの參加者は ケムブリツヂ大學から 名譽理學博士の稱號をもらつた學者多く 學位服である緋の衣を着ていたから 異樣な觀を呈した。自分もこの服を※[「纏」の「广」に代えて「厂」、25−右−14]うて先生と對座したが 先生も伴われた夫人も 門弟とこの盛宴を共にするを非常に喜ばれた。別るるに臨み 再會を約したがその後戰亂相繼ぎ 遂に永訣となつた。これを想えば涙※[#「さんずい+(林/日)」、第4水準2−79−24]然たらざるを得ない。
今や原子に關する研究は 世界を風靡している。誰か h の有難味感ぜざるものあらん。將來 h の眞相を摘抉するものこそ第二のプランクと稱すべく恰もマツクスウエルを第二のニウトンとして尊奉するが如くなるであろう。敢て青年才士の努力を希願する。
[#地から2字上げ](筆者は日本學士院院長・理博)
底本:「科學朝日 2月號」
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