続き増進してきているのである。この増進は、農業及び産業の発達と種痘の実施とに、帰せられている。
 前世紀(訳註――十八世紀)中葉以降の死亡率の漸減は、極めて顕著なるものがある。
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    第三章 ロシアにおける人口に対する妨げについて

 ロシアにおける出生、死亡、及び結婚の表は、極めて異常な結果を示しているので、たぶんの疑惑なしにこれを受取ることは出来ない。同時にこれを蒐集した規則的方法と、各年におけるその相互の一致は、注目に価《あたい》する。
 一七六八年にB・F・ヘルマンがペテルスブルグ学士院に提出し、学士院新報第四巻に発表された論文には、帝国内の諸州や都市における出生、死亡、及び結婚の比較が行われ、そして次の比率が与えられている。
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ペテルスブルグにおける出生対埋葬……………一三対一〇
モスコウ県…………………………………………二一対一〇
モスコウ区(市を除く)…………………………二一対一〇
ツヴェール…………………………………………二六対一〇
ノヴゴロド…………………………………………二〇対一〇
プスコヴスク………………………………………二二対一〇
レザン………………………………………………二〇対一〇
ヴェロネッシュ……………………………………二九対一〇
ヴォログダ大僧正管区……………………………二三対一〇
コストロマ…………………………………………二〇対一〇
アルハンゲル………………………………………一三対一〇
トボルスク…………………………………………二一対一〇
トボルスク市………………………………………一三対一〇
レヴァル……………………………………………一一対一〇
ヴォログダ…………………………………………一二対一〇
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 これらの比率の若干は、見られる如く非常に高い。例えばヴェロネッシュでは、出生が死亡に対してほとんど三対一であるが、これは思うに、かつてアメリカで知られた比率と同じくらいに高い比率である。しかしながら、これらの比率の平均的結果は、爾後の観察によってある程度確証されている。トゥック氏はその『ロシア帝国論』View of the Russian Empire において、全国を通じての出生の死亡に対する一般的比率をもって、二二五対一〇〇1)[#「1)」は縦中横、行右小書き]、す
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