閧ケずしてしばしばその成員の増加を希望することを1)[#「1)」は縦中横、行右小書き]、十分に説明するものである。
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 1)[#「1)」は縦中横] Lafitau, tom. ii. p. 163.
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 上述の、アメリカ土人の人口に影響を及ぼす諸原因は1)[#「1)」は縦中横、行右小書き]、主として生活資料の多少により左右されるものであることは、湖水や川に近いか、土地の肥沃度が優れているか、または改良がより[#「より」に傍点]進んでいるので、食物がより[#「より」に傍点]豊富になっている一切の地方において、土人の種族がより[#「より」に傍点]多く、またその各種族の成員の数も多いという事実によって、十分に証明される。オリノコ河に接する地方の奥地では、どちらへ数百|哩《マイル》行っても、一軒の小屋もなく、一匹の動物の足跡も見られない。気候がより[#「より」に傍点]厳しく、土地がより[#「より」に傍点]瘠せている、北アメリカのある地方では、荒廃は更にいっそう甚しい。数百リイグ四方の広大な土地を通っても、無住の平原と森林とがあるだけである2)[#「2)」は縦中横、行右小書き]。宣教師は十二日間ただの一人にも出会うことなく旅をしたと云い3)[#「3)」は縦中横、行右小書き]、また非常に広大な土地にわずか三、四の散在する部落が見られただけであるとも云っている4)[#「4)」は縦中横、行右小書き]。かかる荒野のある所は鳥獣を全然産せず5)[#「5)」は縦中横、行右小書き]、従って全く人影がない。ある程度鳥獣のいる他の場所では、狩猟期になると猟の部隊がやって来、獲物の有るに従って各地に天幕を張って止り、従って文字通りそこで産する生活資料の量に比例して人が住むことになるのである6)[#「6)」は縦中横、行右小書き]。
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 1)[#「1)」は縦中横] これらの原因は、おそらく、人口を生活資料の水準に抑止して余りあるように、思われるであろう。そしてそれは実際、インディアンの女子の出産性の小なることの報道が、普遍的に、または大体にでも、本当であるならば、その通りであろう。おそらくある記述は誇張であろうが、どれがそうかは云いにくい。そしてこれら一切の誇張を斟酌しても、それは右の点を確立するに十分足るものであることが、認められなければならない。
 2)[#「2)」は縦中横] Robertson, b. iv. p. 129, 130.
 3)[#「3)」は縦中横] Lettres Edif. tom. vi. p. 357.
 4)[#「4)」は縦中横] Id. p. 321.
 5)[#「5)」は縦中横] Id. tom. ix. p. 145.
 6)[#「6)」は縦中横] Id. tom. vi. p. 66, 81, 345; tom. ix. p. 145.
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 アメリカの他の地方は人口が比較的稠密であると云われている。例えば北部大湖水に接した地方、ミシシッピイ河の両岸、ルイジアナ、及び南アメリカの諸地方がこれである。この地方では、その地が鳥獣や魚を産する多少や、住民の農業上の進歩に比例して、村は大きく、またそれは互に接近している1)[#「1)」は縦中横、行右小書き]。メキシコ及びペルウという人口稠密の大帝国のインディアンは、疑いもなく、もっと野蛮な彼らの同胞と同じ祖先から発し、そして本来は同じ習慣を有っていたに違いない。しかし一連の諸事情により、彼らがその農業を改良し拡張するに至った時から、男子の冷淡や女子の破壊的習慣にもかかわらず、大きな人口が急速に伴生したのである。かかる習慣は実際境遇の変化に従って大いに変化した。そして不断の流浪と困難との生活に代ったより[#「より」に傍点]静かな定住的生活は、直ちに女子をより[#「より」に傍点]多産的ならしめ、そして同時に彼らをしてより[#「より」に傍点]大きな家族を世話し得せしめるに至るであろう。
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 1)[#「1)」は縦中横] Id. tom. ix. p. 90, 142. Robertson, b. iv. p. 141.
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 歴史家が述べているアメリカ大陸を概観すると、人口は、各地の住民が、その現実の勤労と進歩との状態において、獲得し得る食物量と、ほとんど全く比例して、地上に拡っているように思われる。そしてほとんど例外なく、人口は、その限界に及ばないよりはこれを緊密に圧迫していることは、アメリカのあらゆる地方において食物の欠乏から窮乏が頻々と起ることで、わかるのである。
 ロバトスン博士によれば、野蛮な民族が飢饉により蒙る悲惨な状態の顕著な事例が起っている。
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