轤ヘあらゆる敵を逐い払うか、またそれから逃げるかしなければならず、そして互いに間断なく争っていなければならない3)[#「3)」は縦中横、行右小書き]。
[#ここから2字下げ]
1)[#「1)」は縦中横] Robertson's History of America, vol. ii. b. iv. p. 127, et. seq. octavo edit. 1780.
2)[#「2)」は縦中横] Franklin's Miscell. p. 2.
3)[#「3)」は縦中横] Robertson, b. iv. p. 129.
[#ここで字下げ終わり]
かかる事情の下において、アメリカがその面積に比例して極めて人口が稀薄なのは、人口はそれを養うべき食物なくしては増加し得ないという明かな真理の、例証でしかない。しかしこの問題のうちに私が特に読者の興味を惹きたいと思っている面白い点は、人口がいかにしてこの乏しい供給の水準まで抑止されるかということである。人民に対する食物供給の不足は、常に飢饉という形でだけ現れるものではなく、他のもっと永続的な困窮の形で、時に生れてから殺すよりも生れる前に人口を妨げる方に大きく働く習慣を生み出すという形で、現れるということを、見逃すことは出来ない。
アメリカ人の女は多産的でないと一般的に云われている1)[#「1)」は縦中横、行右小書き]。この少産性は、その女に対する男の情熱が足りないという、アメリカの蒙昧人に特有と考えられている特徴の一つから起るのだと、あるものは云っている。しかしながらそれはこの種族のみに特有なことではなくて、食物が貧弱で不十分であり、そして絶えず飢饉または外敵により襲われる不安の中に生活している、すべての野蛮民族に、おそらく大きな程度に存在しているものである。ブルウスはしばしばこれに注目し、特にアビシニアの辺境の蒙昧民族たるガラ族及びシャンガラ族について述べている2)[#「2)」は縦中横、行右小書き]。またヴァイヤンはホッテントット族の人口稀薄の主原因としてその冷淡な気質を挙げている3)[#「3)」は縦中横、行右小書き]。これは、性的情欲から注意を奪ってしまう蒙昧生活の艱難と危険によって起るもののように思われる。そしてアメリカ土人の情熱不足の主たる原因は、その体質から来る絶対的欠陥ではなく、かかる事情がその原因で
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