A遺産はサルタンに戻り、そして子供は多額の金を出さなければ相続権を買い戻すことが出来ない。かかる考慮から当然に土地財産に対し冷淡の風が生ずる。地方は荒廃し、各人は都市に逃亡しようと望むが、都会では彼は啻に一般により[#「より」に傍点]善い待遇を受けるのみならず、貪婪な支酎者の眼からより[#「より」に傍点]容易に隠匿し得る富を獲得する望があるのである。
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 1)[#「1)」は縦中横] Voy. de Volney, tom. ii. c. xxxvi. p. 369.
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 農業の破滅を全たからしめるものとして最高価格が多くの場合に定められており、そして農民は都市にその穀物を一定の価格で供出させられている。すべての大都市で穀価を低くしておくことは、トルコの政策の公理となっているが、これは政府の弱体と、大衆暴動蜂起の恐怖とから発するものである。凶作の場合には、少しでも穀物を所有しているものは一定の価格でそれを売ることを強制され、従わぬものは死刑に処せられる。そして近隣に穀物がない場合には、他地方から徴発される1)[#「1)」は縦中横、行右小書き]。コンスタンチノウプルが食糧不足になれば、これに供給するためにおそらく十州が飢えさせられるのである2)[#「2)」は縦中横、行右小書き]。ダマスカスにおいては、一七八四年の凶作のとき、人民は一ポンドのパンに対しわずか一片四分の一を支払っただけであるが、他方村落の農民は絶対的に餓死しつつあったのである3)[#「3)」は縦中横、行右小書き]。
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 1)[#「1)」は縦中横] Id. tom. ii. c. xxxviii. p. 38.
 2)[#「2)」は縦中横] Id. xxxiii. p. 345.
 3)[#「3)」は縦中横] Id. c. xxxviii. p. 381.
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 かかる政治制度が農業に及ぼす影響は多言を要しない。生活資料の減少の原因は明白すぎるほど明白である。そしてかかる減少しつつある資源の水準に人口を抑圧している妨げは、これとほとんど同等に確実に辿り知ることが出来るのであり、すなわちそれは知られている限りのほとんどすべての罪悪及び窮乏を含むものなることが分るであろう。
 クリスト教徒の家族は、一夫多妻が行われているマホ
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