、彼れの希望する一切を、彼が土壌の耕作に必要と考える一切を、することが出来る。従ってこれらのものは、農業者にその欲するものを何も与えないのであるから、単に彼らに無償で食物を与えるために、農業者がその性来の怠惰心を克服し、そしていっそう大きいいっそう骨の折れる仕事をするようになるとは期待し得ない。かかる事態において、工業労働に対する非常に小さな需要が充足された時には、他の人々はどうすべきであろうか。彼らは実際、あたかも不毛の沙漠に住んでいるのと同様に、全く生活資料がないのである。彼らはその仕事が需要されるある場所に移住するか、または貧困の極《きわみ》窮死するかしかない。かれらの労働がわずかにまたほんの時々使用される結果として、彼らに乏しい生活資料が与えられ、これによってかかるとことんまでおちるのを免れたとしても、彼ら自身は生存し得るかもしれぬが、結婚して人口を増加し続ける能力のないことは、明かである。
もしヨオロッパの最もよく耕作されかつ最も人口稠密な国に現在の土地と農場の分割が行われており、しかも商工業がこれに伴っていなかったとしたならば、より[#「より」に傍点]以上の耕作に対する動因が全然欠けており、従って労働の需要がないために、人口は久しい以前に停止してしまっていたことであろう。そしてここで考察している国の過度の肥沃度が、この困難を減少するよりはむしろ加重するものなることは、明かである。
もし使用されない多くの良い土地があるならば、アメリカの場合の如くに、新しい定住と分割とがもちろん行われ、そして過剰人口はそれ自身の食物を作り出し、それに対する需要を生ぜしめるであろう、とおそらく云うものがあるかもしれない。
疑いもなく、好郡合な事情の下においてはそうなるであろう。すなわち例えばもし、第一に、穀物と同じく他のすべての資本の原料を提供する如き性質を士地が有つならば、第二に、かかる土地が小口で買うことが出来、また財産が自由政府の下で保証されているならば、そして第三に、勤労と蓄積との習慣が人民大衆の間に広く行われているならば、というのがそれである。以上の条件のいずれかが欠けているならば、人口の増加は本質的に妨げられ、または全然停止されるであろう。最も豊かな穀作に堪える土地でも、樹木と水がないために、広大な一般的な定住に全く適しないということもあろう。もし農地借地権
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