るように思われる。最近四百年の間、ブルウスによれば、戦争はこの不幸な国を荒廃に委ねることを止めたことはなかった1)[#「1)」は縦中横、行右小書き]。しかもその戦争はひどく野蛮に行われるので、この破壊は十倍にもなった。ブルウスがはじめてアビシニアに入国したとき、彼は、到るところに、ラス・マイクルのゴンダアル進軍によって根こそざに破壊された村々を見た2)[#「2)」は縦中横、行右小書き]。彼は曰く、彼がこの国に滞在中の内乱で、『叛徒はまずデムビアを荒廃に帰しはじめており、そして南方から西方に至る平原にある一切の村を焼き払い、それをマイクルとファシル間の沙漠のようしてしまった。………王はしばしばその宮殿の塔の頂上に登り、デムビアにおけるその豊かな村々が焼けているのを見て、不満の極であつた。』と3)[#「3)」は縦中横、行右小書き]。彼はまた他の場所で曰く、『デグウェッサの全地方は完全に破壊された。老若男女の区別なく男も女も子供も全部皆殺しになった。家は地に倒され、その附近の国土は大洪水の後のように荒廃してしまった。王に属する村々も同じく苛酷に荒された。到る処から救を求める叫びが聞えてきたが、誰もあえて救助手段を講ずる者はなかった4)[#「4)」は縦中横、行右小書き]。』アビシニアの一州たるマイッチャにおいては、もしいやしくも老人に会うことがあったらそれは確かに、他国人と見てよいが、けだし一切の原住民は若いうちに槍で死んでしまったから、と彼は聞かされた5)[#「5)」は縦中横、行右小書き]。
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1)[#「1)」は縦中横] Id. vol. iv. p. 119.
2)[#「2)」は縦中横] Id. vol. iii. c. vii. p. 192.
3)[#「3)」は縦中横] Id. vol. iv. c. v. p. 112.
4)[#「4)」は縦中横] Id. vol. iv. p. 258.
5)[#「5)」は縦中横] Id. c. i. p. 14.
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もしブルウスの画いたアビシニアの状態の描写が、少しでも真に近いものとすれば、それは、戦争、流行病、及び乱交が、すべて過度に働いている下でも、人口を生活資料の水準一杯に保持せしめるところの、人口増加の原理の力を、極めて明白に物語るものである。
アビシニアに隣
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