則正しく、逓減して行かなければならぬことは、明かでなければならない。そこで、人口と食物との増加をより[#「より」に傍点]よく比較し得んがために、正確をよそおうことなくして、土地の性質に関し吾々が有ついかなる経験が保証するよりも以上に明かに土地の生産力にとり有利な過程をしてみよう。
以前の平均生産物に対し加えられる、年々の増加が減少することなくして――これは確かに減少するであろうが――依然同一であり、そしてわが島国の生産物が二十五年ごとに、現在の生産額と等量だけ増加され得る、と仮定しよう。最大の楽天家といえどもこれ以上に大きな増加を仮定することは出来ない。かくて数世紀にしてこの島国は寸地も余さず花園のようになるであろう(訳註)。
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〔訳註〕以上三つのパラグラフに該当するものは、1st ed., pp. 21−22. にある。ただし農業生産の特殊性に関する説明が詳細になっている。
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もしこの仮定が地球全体にあてはめられ、そしてもし土地が与える人間の生活資料が二十五年ごとに現在の生産額だけ増加され得ることが認められるならば、これは、あらゆる可能な人類の努力がなし得ると吾々が想像し得る遥か以上の増加率を仮定することになるであろう。
従って、土地の現在の平均状態を考慮して、生活資料は、人類の勤労に最も好都合な事情の下において、算術級数以上に速《すみや》かにはおそらく増加せしめられ得ない、と立派に云えるであろう(訳註)。
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〔訳註〕このパラグラフに該当するものは、1st ed., p. 23.
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これら二つの異る増加率を一緒にした場合に必然的に生ずる結果は、極めて驚くべきものがあろう。この島国の人口を一千百万とし、現在の生産物はこの数を容易に養うに等しいものであると仮定しよう。最初の二十五年では、人口は二千二百万となり、また食物も倍加されるから生活資料はこの増加に等しいであろう。次の二十五年では、人口は四千四百万となり、生活資料はわずかに三千四百万を養うにに等しいだけであろう。その次の時期には、人口は八千八百万となり、生活資料はちょうどその半数を養うに等しいだけであろう。かくて最初の一世紀の終りには、人口は一億七千六百万となり、生活資料はわずかに五千五百万を養うに等しいのみであり
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