た。力弱いデキウス、ガッルス、エミリアヌス、ヴァレリアン、ガリエヌスの治世は、かかる活路を与え、その結果として野蛮人の一般的侵入を蒙った。数ヶ年間にスカンジナヴィアからユウジンに移住したと想像されるゴオト族は、年々貢納を納めるということでその戦勝軍を撤退することに同意した。しかしロウマ帝国の富と弱点との危険な秘密が、かくして世界に暴露されるや否や、新らしい野蛮人の群は、ただちに辺境地方に荒廃の手を拡げ、そしてロウマの入口までも恐怖を蔓延させた3)[#「3)」は縦中横、行右小書き]。フランク族、アレマニ族、ゴオト族、及びこれら一般的名称に含まれている、もっと小さな種族の冒険者は、急流の如く帝国の各地方に乱入した。掠奪と圧制とは現在の生産物と将来の収穫の希望とを破壊した。長い一般的な飢饉に次いで消耗性の悪疫が起り、これは十五年間、ロウマ帝国の各市各州を蹂躪した。そしてある地方の死亡率から判断して、数年にして、戦争、流行病、及び飢饉は人口の半ばを奪い去ったものと考えられた4)[#「4)」は縦中横、行右小書き]。しかも移住の潮は依然北部から時々猛然とやって来た。そして相継ぐ武勇の皇子は、先代の不運を恢復し、帝国没落の運命を阻止するために、ヘルクレスの苦難をなしとげて帝国の領土を野蛮人の侵入から守らなければならなかった。二五〇年及びその後数年、海陸両路から帝国を蹂躪し種々成功を収めたゴオト族は、遂にその冒険部隊のほとんど全部を失ったけれども5)[#「5)」は縦中横、行右小書き]、二六九年には、植民の目的をもって、妻子を伴う莫大な数の移住民を送り出した6)[#「6)」は縦中横、行右小書き]。最初には三二〇、〇〇〇の野蛮人から成ると云われた7)[#「7)」は縦中横、行右小書き]この恐るべき一団は、遂にはクラウディウス帝の武力と智力によって撃破され追い散らされた。その後継者アウレリアンは、そのウクライナの植民地から出て来た同じ名の新集団と戦いこれを滅した。しかし暗黙の平和条件の一つには、彼はダシヤからロウマ軍を撤退し、この広大な州をゴオト族とヴァンダル族とに委ねなければならぬ、とあった8)[#「8)」は縦中横、行右小書き]。その後まもなく、アレマニ族の新らしいはなはだ恐るべき侵入が世界の覇権奪取の脅威を与え、アウレリアンは三度の大規模な血腥い戦闘を行った後、ようやくにしてこの破壊的
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