ックは曰う、)『吾々の観察によれば疑問の余地がない1)[#「1)」は縦中横、行右小書き]。』魚は彼らの主食であるが、それは海岸で、しかもある時期に2)[#「2)」は縦中横、行右小書き]、取れるだけであるから、常に極めて不確実な食物源泉でなければならない。かかる不断の危急状態にある社会状態において、たくさんの魚を乾かして貯えることは極度に困難なことでなければならぬ。殊に魚の最も豊富な湾や入江は、最もしばしば、食物を探し求めて放浪している人民達の執拗な争闘目標となることと考えられるのであるから3)[#「3)」は縦中横、行右小書き]、植物性生産物は、羊歯の根、山芋、クラム、及び馬鈴薯である4)[#「4)」は縦中横、行右小書き]。後の三者は耕作によって得られ、従って農業がほとんど知られていない南方諸島では滅多に見られない5)[#「5)」は縦中横、行右小書き]。これらの乏しい資源が季節の不順のため時に不作になった時にその困窮が恐るべきものでなければならぬことは、想像に難くない。かかる時期には、御馳走を食いたいという欲望が復讐の欲望に力を加え、彼らをして『餓死に代る唯一の方法として絶えず暴力により殺し合う6)[#「6)」は縦中横、行右小書き]』ということになるのは、あり得ないことではないと思われる。
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1)[#「1)」は縦中横] Cook's First Voyage, vol. iii. p. 66.
2)[#「2)」は縦中横] Id. p. 45.
3)[#「3)」は縦中横] Id. Third Voyage, vol. i. p. 157.
4)[#「4)」は縦中横] Id. First Voyage, vol. iii. p. 43.
5)[#「5)」は縦中横] Id. vol. ii. p. 405.
6)[#「6)」は縦中横] Id. vol. iii. p. 45.
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ニュウ・ジイランドの稀薄に散在せる住民から、オウタハイト及びソサイティー諸島の人口稠密な海岸地方に眼を転ずるならば、これと異る光景が展開される。ヘスペリデスの園の如くに、豊饒であると云われている国からは、一切の欠乏の不安は消え去っているように思われる1)[#「1)」は縦中横、行右小書き]。しかしこの第一印象はちょっと考え直してみれば直ちに誤
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