が二倍となるならば、価格は直ちに騰貴するであろうが、しかし、帽子の生産費またはその自然価格が騰貴しない限り、その騰貴は単に一時的に過ぎないであろう。農業学におけるある大発見によりパンの自然価格が五〇%下落したとしても、需要は大いに増加しないであろうが、けだし何人も彼れの欲望を満足せしめるより以上を欲求しないであろうからである。そして需要が増加しないであろうから供給もまた増加しないであろう。けだし貨物は単にそれが生産され得るから供給されるのではなく、それに対する需要があるから生産されるのであるからである。かくてここに吾々は、供給と需要とがほとんど変化せず、またはそれが増加したとしても同じ比例で増加した場合を有つわけであるが、しかも貨幣の価値が引続き不変である時にもまた、パンの価格は五〇%下落することになるであろう。
個人かまたは会社かによって独占されている貨物は、ロオダアデイル卿が述べている法則に応じて変動する。すなわちそれは売手がその分量を増加するに比例して下落し、そして買手のこれを購買せんとする熱望に比例して騰貴する。その価格はその自然価値と何らの必然的関聯も有たない。しかし競争の対象となりかつその分量がいかなる程度にも増加され得る貨物の価格は、結局、需要と供給との状態ではなくて、その生産費の増減に、依存するであろう。
[#改ページ]
第三十一章 機械について(編者註)
[#ここから2字下げ]
(編者註)本章は第一版にも第二版にも現われていない。
[#ここで字下げ終わり]
(一三九)本章において私は、機械が社会の異る階級の利益に及ぼす影響に関する研究に入るが、それは極めて重要な問題であり、そして何らかの確実なまたは満足な結果に導くが如くに研究されたことのないものであるように思われる問題である。この問題に関する私の意見を述べるのは私の義務となっていることより[#「より」に傍点]多いものであるが、けだしそれは、より[#「より」に傍点]以上考慮してみると、著しい変化を蒙っているからである。そして私は、機械に関して、私にとり撤囘しなければならぬ何事かを発表したとは思わぬが、しかも私は、現在誤謬であると考えている学説を、他の方法で支持したことがある。従って私の現在の見解を、それを抱懐《ほうかい》する私の理由と共に、検討に委ねるのが、私の義務となっているのである
前へ
次へ
全346ページ中310ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
吉田 秀夫 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング